入り口で指定された階に誘導される。
汗だくのままエレベーターに乗るのは少し気が引けたがまあしょうがない。
指定階に着いて諸々手続きを済ませると、大きなフロアへ案内された。
大きなフロアに長机が複数列でいくつも並べてあり、それに各受験生が座っている。
既にほとんどが集まっていたらしく、席はほぼ埋まっている。
全部で百人超はいるだろうか。
席の順番は受験番号で前から昇順になっている。
青年海外協力隊にいくつもの職種があることは前述した通りだが、どうやら職種ごとに受験番号を振り分けてはいないようで、私の席の周りには残念ながらコンピュータ技術の人は一人もいなかった。
コンピュータ技術なら色々と話も盛り上がっただろうに・・・。
結局、午前中は同じ机に座っている人とはひと言も話さずに過ごすこととなる。
周りからは、ざわざわとコミュニケーションをとる声が聞こえてくる。
そりゃ海外ボランティアを志すコミュニケーションスキル過多な人間が百人以上も集まれば、初見の人が隣に座ってたって少しくらい会話もするだろう。
そしてこれだけの人数を一日で捌くのだから、実は選考スケジュールはしっかり決められていた。
受験番号がびっしりと時間ごとに区切られて記載されている紙を受付の時に渡されたのだが、それに自分の受験番号が記載されている。
それを見て自分の面接時間を確認せよ、とのことだ。
私の場合、技術面接が午前で人物面接が午後だった。
人によっては逆のこともあるようだったし、午前で二つとも終わる人すらいたようだ。
順番に面接室へ通される受験生。
ちなみに面接室はいくつかあり、場所によってはかなり広い場所もあるようだった(空手やバレエの演技用に用意されている?)。
私が面接を行う面接室前へ行くと、既に一人面接室前で待機している女性が居た。
面接室前に二つ用意されているるパイプ椅子のうち、空いてる方の椅子へと無言で座る。
・・・やばい、すげえ緊張してる、この人。
背筋を背もたれにも着けずピーーーンと伸ばし、微動だにしない。
背もたれに体を預けて完全に弛緩している私とは真逆だ。
すごく話しかけづらい・・・。
大体は、こういうときに軽く話とかして緊張をほぐしたりするものなのだろうが、いや、これ絶対無理でしょ。
いや、マジであなた、緊張しすぎだって。
何も会話も無いまま、そのさらに一つ前の受験生が面接を終え面接室から出てくる。
「次の方、どうぞお入りください」
促されるまま、面接室に吸い込まれる私の前の人。
その日何が緊張したって、その人と一緒の空間に二人きりで押し込められてたって言うのが一番緊張したよ!!!
別にそんなに狭い空間じゃなかったけどさ、待ってる席の間隔が近いからおのずと二人の距離も近くなるんだよ!!!
そりゃ緊張も伝播してくるよ!!!
以心伝心だよ!!!
僕らはいつも以心電心だよ!!!
二人の距離つなぐテレパシーだよ!!!
暫く待っていると、私の次に面接を受ける男性がやってくる。
技術面接なので、当然同じコンピュータ技術の人である。
私の前に居た人もコンピュータ技術なんだけど、やっぱりIT関連はそういう人多いのかなぁ。
私の後ろの人はどうやらかなりこういう状況に場慣れしているようで、気さくに話しかけてきてくれた。
私も持ち前のツッコミスキルをフル動員して、その人と緊張をほぐすための会話に精を出す。
ちなみにその人とは第一希望のブータンが被っていたのだが、なんと第一希望の国名を覚えていなかった。
いやお前はお前でマジで大丈夫なのかよァ!!!
私の前に居た人とは、私以上に真逆な野郎。
会話の流れでとりあえず、国名はブータンでKOHAはLinux必須だよ、とか教えてあげました。
同じ第一希望を希望するライバルに塩を送る協力隊員の鑑。
てか少なくとも希望任地の国名ぐれぇ覚えてこいよテメェ!!!!!
なお結果的には、 私の前の人は落選し、私の後の人は合格していた。
それが、全てを物語っているのかもしれない。
緊張MAXだった女性が面接室から出てくると、少ししてから面接室に促される。
後ろに控えている人に「お先に」と軽くひと言置いてから面接室へイン。
部屋に入ると面接官は2人、とても人のよさそうな人たちだった。
結論から言うと、面接は終止にこやかな雰囲気。
私の受け答えに関しても逐一相槌を打ってくれて、円滑にコミュニケーションが図れるよう気を使ってくれてもいたようだった。
他の職種がどうかは分からないが、コンピュータ技術に関しては、
- できることは「できます」
- できないことは「できませんが勉強します」
少なくとも嘘は駄目、必ず見破られる、あの面接官はマジでその道のプロだ。
少なくとも私に関してはアプリケーションの開発がメインの職歴だったので、ネットワークの構築やハードウェアに関しては趣味レベルでやったことがある、くらいに答えておいた。
その代わり、私の専門であるLAMP環境での開発やアプリケーション開発に関してはアピールの嵐、これでもかと言うくらいに自分が何をしてきたか、何が出来るかを喋りまくる。
結論を言えば、技術面接に関しては100%私の伝えたいことが伝えきれた完璧の面接だったといえるだろう。
面接室から出ると、不安そうにしている後ろの人に(・´ー・`)b
ってやってやったわwww(ちなみにこれ「サムズアップ(Thumbs up)」と言うらしい)。
なお、サムズアップも宗教や地域によってはやってはいけないところもあるようなのでご注意ください。
人物面接へ続く→
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