2015/08/26

青年海外協力隊員を目指して その10

技術面接が終了してフロアの席へ戻ると、程なくして昼食となった。
特に親しくなった人がいるわけでもなく、そもそも持ってきた食事はカロリーメイトとウィダーインゼリーという、和気藹々と食べるようなものでもない(近くに食事処やコンビニが少ないと言うことで事前に用意した)。

昼食が終わって午後の部に入ると、ようやく少しずつ隣の人とも話すようになってくる。

私は5人用長机の真ん中に座っており、両隣は男、右端と左端は両方女性だった。

♀ ♂ 私 ♂ ♀

色々話を聞くと、かたや獣医科の新卒、かたや今回でなんと6回目の挑戦である。

ちなみに、どちらも落ちていました。

それぞれの資質がどうかと言うのは私には分からないが、落ちた理由の一つは間違いなく選んだ職種によるところが大きい。
両名とも倍率の高い職種を選択していたのである。

全体の倍率は、27年度春募集は

全要請数:885件
全応募者:1,364人
一次合格:877人(全応募者の64%)
二次合格:476人(全応募者の35%)

となっている。

つまり、競争率約3倍の狭き門だ。

しかし職種別に分割して考えるとこの狭き門はさらに狭くなる。


職種:コミュニティ開発
全要請数:54件
全応募者:226人
一次合格:126人(全応募者の56%)
二次合格:51人(全応募者の23%)


職種:青少年活動
全要請数:23件
全応募者:156人
一次合格:46人(全応募者の29%)
二次合格:19人(全応募者の12%)


まずは上記の二つが特に高倍率の職種として知られている。

なぜなら、これらは「特に専門的な技術・知識を必要とされない」からである。
青年海外協力隊は、必ずしも専門家である必要はない。
専門を持たない人も広く活動できるようにするため、このような職種が用意されている。

しかし、専門的な技術・知識が必要とされない職種はそれだけ人が集まりやすいともいえる。
要請数に対する応募者数は、見ての通りかなり多い。
そのため必然的に上記二つの職種は競争率が非常に高くなる。
ただ他の職種でも、応募者数が要請数を上回っていれば基本的に競争率は高くなると考えても良いだろう。

では逆に私の職種:コンピュータ技術はどうかというと、
全要請数:26件
全応募者:21人
一次合格:17人(全体の81%)
二次合格:13人(全体の62%)


定員割れ起こしてます。


それでも選考はしっかりと行う。
駄目な人はしっかりと落とすと言うのは、昔から変わらないようです。
逆に言えば、よっぽどの失敗さえしなければ私の場合落とされることはないだろうと考えていました。
持ち前のキャラクター、タフネス、小賢しさ。
もう既に気持ちは「落とす理由があるなら教えて欲しい」くらいの気持ちでいた。
※ 私を直接知らない人のために補足するが、私は大学時代は空手部、体質はかなり筋肉質、今は趣味がトライアスロンとトレーニング、髪型が坊主ということもあり見た目はプロレスラーかヤクザにしか見えない。 気が向いてスキンヘッドにした私を見て実兄が一言「武藤敬司そっくりやん」


周囲の人と色々と話していると、より緊張がほぐれた状態で人物面接を迎えることができた。
技術面接とは違う部屋へ誘導される。

部屋の前に行くと、やはり私の前に居たのは技術面接のときと同じく緊張MAXの女性。
今回はより一層の緊張感である。
背筋の伸び方も午前に比べてキレが増している気がする。

結局その人とは一言も話すことなく、面接室へと消えていった。


暫く待つと、順番が回ってくる。

部屋に入ると、正面に二人、後方の左右にそれぞれ一人の合計4人がスタンバイしていた。
基本的に正面の二人が応対、後方の二人が私の受け答えや反応などをみて諸々の分析をする専門家なのだろう。
恐らくは精神科医か心理学者か。
※2015/09/30追記 この時話した正面の二人のうちのお一方が、なんと技術補完研修の技術顧問であった。
席に着くと、程なく面接が開始される。
私の場合、聞かれた内容は以下の通りだった。
  • 自己紹介
  • 自己紹介の中で、気になった点を突っ込まれた
  • もし落ちたらどうしますか?
  • 海外に行った経験はありますか?
  • 受かったら、職務以外でどのような活動をしますか?
  • ボランティア活動で得た経験を帰国後どのように活かせると思いますか?
  • 帰国した後の予定は考えていますか?
  • 途上国には物資が不足していることが多いです。活動に必要な物資が不足していたとき、あなたはどうしますか?
技術面接のときと同様、こちらも終止にこやかな雰囲気のまま進行した。
ところどころ私の返答の補助を入れてくれたりという場面すらあったので、非常に話しやすかった。
最後の質問などは想定していなかった問いだったので少々戸惑ったりはしたが、おおむね想定通りの返答が出来ていたと思う。

一つ一つの質問に対する返答が長かったせいか、質問数が他の人よりも少なかったように思われる。
なお、これだけしか質問されていないにもかかわらず時間は30分丸々使用していた。
平均すると一つの質問に対し4分弱。

いくら思い出しても、そんなに喋った記憶がない。

なんだかんだ、その時の私は旨くやりくりしたということなのだろう。

恐らく、これはかなり重要なことだと今感じている。
その場その場で状況に即座に適応し、旨くやりくりする。
どれだけ想定外の場面に出くわしてもうろたえず、ひるまない。
時には面接官は意図的にそういう状況を作り出し、受験生を追い込むこともするらしい。
この「追い込む」ということが、人によっては「圧迫面接」のように感じられてしまうのだろう。

とにかく重要なのは、「殺せるものなら殺してみろ」くらいの気構え。
「受からなくたってどうにでもなるさ」くらいの開き直り。

青年海外協力隊の面接に限らず、何においてもこれくらいの精神状態であれば機転も効くし、臨機応変に対応もできるだろう。

まあ、殺したって死にそうにない私が言っても説得力はないかもしれないが。



時刻も3時ごろになると、面接が終了した人から順次解散と言う流れになった。
面接が既に終了していた私は、前のほうに座っていたということもありかなり早めに外に出ることができた。
周囲に座っていた人たちと軽く挨拶を交わし、別れる。
結局連絡先すら交換しなかったが、まあ良いだろう。
彼ら受かってなかったし。


さて人事は尽くした。
後は天命を待つのみである。

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